死後の世界 ― "迷える霊との対話"から

迷える霊との対話−ウィックランド夫妻について

ウィックランド博士はアメリカ人精神科医で、30年に渡り、霊媒の妻であるアンナと共に憑依と精神疾患との関連性を研究し続けました。
そしてその研究の成果を一冊の本にまとめて発表し、当時大変話題になったそうです。

こちらの本です。
迷える霊(スピリット)との対話 【別窓 アマゾンの詳細ページへ】

この本の中身のほとんどが、憑依霊たちとの会話 です。
互いにつながりのない霊同士が語る死後の状況に相違がないことや、霊実在のまぎれもない証拠が語られていたりと、リアルなやり取りについつい引き込まれてしまいます。
そんな彼らの体験や後悔の言葉を読んでいると、この世に生きている間、どのように過ごせばよいのかを改めて考えさせられます。

今回は数あるセッションの中から、『タイタニック号の事故で亡くなったジョン・J・A霊』と、『ミニーと呼ばれていた孤児の女の子の霊』とのセッションの一部を転載させていただきます。
が、先に進める前に少し説明をさせていただきますね。

セッションは、憑依霊(地縛霊、未浄化霊)が奥様のアンナさんに乗り移り、彼女の身体を使って博士と対話する形で進行してゆきます。

方法は、まず博士の患者さんに憑依している霊を、電流を流す装置でいったん外に追い出し、そして霊媒であるアンナ夫人に乗り移らせます。
それからウィックランド博士がその霊と対話を始め、説得してゆきます。
(本を読んでいる限りでは、大変な忍耐や根気がいる作業のようです。 また中には凶悪な霊もいて気を許したりひるんでしまうとこちらが負けてしまうような緊迫したやり取りも出てきます)。

博士の説得によって、自分の死ですとか誤解、過ちを悟った霊たちは、次の瞬間自分のすぐそばに先に亡くなった家族や友人が迎えに来ていることに気づきます。
その後霊界に連れていかれるか、もしくは博士らがマーシーバンド(慈悲団)と呼んでいた、迷える霊たちを救う仕事をしている高級霊たちによっても霊界へと連れて行かれます。
また、霊の憑依から解放された患者さんは、元の健康を取り戻してゆきます。
(ただし、心の弱さや無知、好奇心などが災いし、自ら無意識に未浄化霊を引きつけてしまう人もいるようです)。

ところでジョン霊のケースですが、彼はタイタニック号の事故に遭って亡くなられたかたでしたが、セッションが始まった時はまだご自分が死んだことを自覚していませんでした。
ジョン霊は、やはりタイタニックに乗船していて命を落とされた、W・T・ステッド霊によって、博士らの元へと連れてこられます。

生前ステッド霊は著名なジャーナリストで、スピリチュアリズムにも知識がありました。 そのおかげで、亡くなってすぐの変化や移行が早くてスムーズだったようです(生前、死後の知識があるのとないとでは成仏の仕方や早さが異なります)。

ステッド霊は、ジョン霊のような未浄化霊の救済をしており、そこでウィックランド博士の元へと彼を連れてきたようです(他の未浄化霊たちも別件で連れてきています)。
未浄化霊というのは人間界からの働きかけで成仏(昇天)しやすいようで、そのため博士夫妻を頼って連れてこられる霊は少なくなかったようでした。

一方でミニーのように、自分でも気付かないうちに生きた人間に憑依して、"生きている"霊たちも少なくなさそうです。


最後に、除霊行為についてです。
スピリチュアリズムに明るい近藤千雄さんも反対してらっしゃるのですが、「除霊」は日本人独自のもので欧米ではほとんどしていないそうですし、霊界の仕組みがわかればわかるほど、人間がめったなことで関わるものではないと、この本を読んでなおさら思います。

霊が憑くのは憑かれる本人が無意識に呼んでしまうことも少なくなく(体質というよりも性格のせいで)、なのでこのような場合は霊を外しても外しても、すぐに別の霊が憑いてしまうから、です。

ならば除霊行為を繰り返すよりも効果的な解決策は、本人が行動や考えを改めて呼びよせないようにすること、となります。
当人が、二度と霊に憑かれないように、強い意志を持って自ら誤った考え方や態度を改めようとする時が来るまで、周りは手出しせずにただじっと見ていてあげた方が、本当の意味での親切ですし解決にもなります。

また、霊によっては凶悪で、身の危険を伴いますし、自分が憑依されていることに気づかない場合も少なくありません。(スウェデンボルグによれば、人間の周りには常に成仏していない地縛霊などの低級霊が何体もうろついていて、身体や心が弱っている時などさっとオーラの中へと入ってしまう=憑依してしまう のだそうです。ですが人間はまず気がつかないそうで、取り憑かれたあとは知らず知らずのうちに憑依霊に振り回されます)

ということで結果的に除霊行為そのものの価値や意義はほとんどなく、むしろそれにかかわることは危険ですし、ミイラ取りがミイラになって無意識のうちに何の関係もない他者をストレスやトラブルに巻き込んでしまうことも恐れもあるということをぜひ知っておいていただきたいなと思います。

(博士たちのように高級霊に愛されて守られているような、誠実で地に足が着き、理性と感情のバランスが取れ、きわめて利他的な心を持つ人物でなければ、除霊作業はお互いにとっても危険極まりなく、そもそもその役割には向いていないということです)



1916年10月22日  ジョン・J・A 霊   

まずW・T・ステッドが出て簡単な説明をした後、別の霊がまるで海に投げ出され、必死に助けを求めてるような状態で出現した。

ジョン 「助けてくれ! 助けてくれ!」

博士 「どちらから来られましたか?」

ジョン 「今ここを出て行った人が、ここに入れと言うものですから来ました」

博士 「海の中にいたのですか?」

ジョン 「溺れたのです。 でも、また息を吹き返しました。 今の方の姿は見えないのですが、声だけは聞こえました。“ここに入りなさい。そのあと一緒に行きましょう”と言ったのです。 ですが、どこにいるのかわかりません。  目が見えなくなってしまった! 何も見えない! 海水で目がやられたのかもしれませんが、とにかく何も見えません」

博士 「それは霊的な暗闇のせいですよ。 死後にも生命があることを知らずに肉体から離れた人は、暗黒の中に置かれるのです。 無知が生む暗黒です。」

ジョン 「今、少し見えるようになりました。 少し見えかけてはすぐまたドアが閉められたみたいに真っ暗になるのです。 妻と子供の側にいたこともあるのですが、二人とも私の存在に気がつきませんでした。 今はドアが開いて、寒い戸外に締め出されたみたいな感じです。 我が家に帰っても孤独です。  何かが起きたようには感じてますが、どうしてよいのか分りません」

博士 「ご自分が置かれている状況がお分かりにならないのですか?」

ジョン 「いったい私に何が起きたのでしょうか? この暗闇は何が原因なのでしょうか? どうしたら抜け出せるのでしょうか? 自分のことがこんなに思うようにならないのも初めてです。 いい感じになるのはほんのいっときです。 今、誰かの話し声が聞こえます。 おや、さっきの方が見えました。 ステッドとおっしゃってましたね?」

博士 「そうです。 あなたが来られる前にステッドさんが、その身体で挨拶されたのです。 あなたをここにご案内したのはステッドさんですよ。 ここに集まっている人たちは、あなたのように暗闇の中にいるスピリットに目を覚まさせてあげる仕事をしているのです。」

ジョン 「ひどい暗闇です。 もうずいぶん長い間、この中にいます」

博士 「いいですか、“死”というものは存在しないのです。 地上で始まった生命は肉体の死後も続くのです。 そして、そのスピリットの世界では、人の役に立つことをしなければ幸せになれないのです。」

ジョン 「確かに私の生活は感心しなかったと思います。 自分のためにだけ生きておりました。 楽しいことばかり求めて、お金を使いたい放題使っておりました。 このところ、自分が過ごした生活ばかり見せられております。 見終わると真っ暗になります。 それはそれはひどい闇です。 過去の生活の一つ一つの行為が目の前に展開し、逃げ出そうとしてもダメなのです。 ひっきりなしにつきまとって、なぜこんなことをしたのかと責め立てます(守護霊を含む高級霊が意図的に行うもので、反省と改心の余地がある霊に限られる)。

博士 「地上で自分本位な生活ばかりしていた人は、たいてい霊界に行ってから暗闇の中に置かれます。 あなたはこれから霊界の素晴らしい側面を勉強して、人の為に役立つことをすることが、スピリットの世界の大原則であることを理解しないといけません。 その時に味わう幸せが“天国”なのです。 天国とは精神に生じる状態なのです。」

ジョン 「なぜそういうことを地上で教えてくれなかったのでしょうか」

博士 「そんな話を地上の人間が信じるでしょうか。 人類は一握りの人を除いて、大体において霊的なものを求めず、他のこと、楽しい事とお金になることばかりを求めます。 霊的真理は求めようとしないのです。」

ジョン 「なんとなく奇妙な感じが、じわじわと迫ってくるみたいです。 おや、母さん! 母さんじゃないの! 僕はもう大人なのに、なんだか子供に戻ったみたいな感じがする。 ずいぶん探したんだけど、僕はずっと暗闇の中で生活していて・・・。 なぜこんなに見えないのでしょう? この目、治ると思いますか。 母さん? このままずっと見えないままですかね?  母さんの姿は見えるのに、それでも盲目になったような感じがするのは変だと思わない?」

博士 「あなたは肉体がなくなって、今は霊的な身体に宿っているのです。 だから、その霊体の目が開けば、霊界の美しいものが見えるようになるのです。」

ジョン 「あそこにステッドさんがいるのが見えます。 同じ船に乗り合わせた方です。 なのにステッドさんは暗闇にいるように見えませんが・・・」

博士 「あの方は、地上にいた時から霊界のことや、こうして地上に戻ってこれることを、ちゃんと知っておられたのです。 人生というのは学校のようなものです。 この地上にいる間に、死後の世界のことをできるだけたくさん知っておかないといけないのです。 霊界に行ってから、辺りを照らす光になってくれるのは、生命の問題について地上で学んだ知識だけなのです。」

ジョン 「そういうことをなぜ誰も教えてくれなかったのでしょうか」

博士 「では、もし誰かがあなたにそんな話をしていたら、あなたはそれを信じたと思いますか?」

ジョン 「私が付き合った人の中には、そういう知識を持った人はいませんでした。」

博士 「今は何年だと思いますか?」

ジョン 「1912年です(タイタニックが沈没した年)」

博士 「実は1916年なのです」

ジョン 「では今まで私はどこに行ってたのでしょう? お腹は空くし、寒くて仕方がありませんでした。 お金はたっぷりあったのです。 ところが最近ではそれを使おうと思っても手に取れないのです。 時には暗い部屋に閉じ込められることもあります。 その中で見せられるのは過去の生活ばかりなのです。 私は決して悪いことはしておりません。 ですが、いわゆる上流階級の人間がどんなものかは、あなたもたぶんご存知と思います。 私はこれまで“貧しい”ということがどういうものかを知りませんでした。 これが私にとって、全く新しい体験でした。 なぜ世の中は、死ぬ前にそれを思い知らされるようになってないのでしょうか。 地上で思い知れば、私のように今になってこんなに苦しい思いをせずに済むでしょうに・・・」

博士 「お母さんやお友達と一緒に行って、その方たちが教えてくださることを良く理解してください。 そうすればずっと楽になります。」

ジョン 「ステッドさんの姿がはっきり見えます。 あの方とはタイタニック号で知り合ったのですが、お話を聞いていて、私には用がない方だなと思っておりました。 年齢もかなり行っておられたようでしたので、霊的なことを趣味でやっておられるくらいに考えたのです。 人間年齢を取ると一つや二つの趣味を持つものですからね。  私にはそんなことに興味を持っている余裕がなかったのです。 お金と、お付き合いのことしか関心がありませんでした。 貧しい階級の人に会う機会がありませんでしたし、会う気にもなりませんでした。 今はすっかり考え方が変わりました。 ところがこちらはお金に用がない世界です。
母が私を待ってくれてます。 一緒に行きたいと思います。 何年も会ってないものですから、うれしいです。 母が言ってます―これまでの私は、気が狂った人間みたいに、まったく言うことを聞かないで、手の打ちようが無かったのだそうです。」

博士 「お名前を伺いたいのですが」

ジョン 「ジョン・J・Aと申します。 みなさんとのご縁をうれしく思います。お心使いに深く感謝いたします。 今やっと、これまで思いもよらなかったものが見えるようになり、聞こえるようになり、そして理解できるようになりました。 母たちが迎えにやってきました。 あのきれいな門を通り抜ければ、きっと私にとっての天国へ行けるのでしょう。 改めて、皆さんにお礼を申し上げます。 いつの日かもう一度戻ってこれることを期待しております。
さようなら」



1921年5月25日  ミニー・オン・ザ・ステップ 霊   

博士 「どこから来たんですか?」

ミニー 「知りません」

博士 「今までどこで何をしていたんですか?」

ミニー 「それも分りません」

博士 「わからないでは済まないでしょう? 自分が今どこにいるのか、どこから来たのかもわからないの?」

ミニー 「分りません」

博士 「死んで、どれくらいになるの?」

ミニー 「死んで? 知りません、なんにも・・・」

博士 「誰か“もうあなたは死んだのよ”と言った人はいませんか?」

ミニー 「いません。 あたし、あっちこっちを歩き回って、人に話しかけてるの」

博士 「誰にですか?」

ミニー 「手当たり次第誰にでも。 なのに、どう言うわけか、誰もあたしの方を向いてくれないの。 時々大勢の人の中に入り込んで、今度こそ全部の人をあたしのものにしたいと思ったり、壇の上に上がって“一体このあたしはどうなってるの?”って大声で聞いてみるんだけど、みんな知らん顔をしているの。 あたしだって一人前のつもりなのに・・。 だあれも相手にしてくれないの」

博士 「そうなる前のことを思い出せる?」

ミニー 「そうなる前? 一人前だったわ。 今は多分“のけ者”なのね」

博士 「“一人前だった”頃は、どこに住んでいたの?」

ミニー 「ずっと同じ場所よ。 そのうち退屈しちゃって、横になって眠り続けたの。 眠った後また出かけるんだけど、同じ場所をグルグル歩き回るだけで、少しも遠くに行けないの」

博士 「誰か近づいてこなかった?」

ミニー 「目に入るのは、全部あたしをのけ者にしている人たちばっかりよ。 誰もあたしの方を向いてくれないし、心配もしてくれない。 時々惨めな気持ちになったけど、また平気になるの」

博士 「お母さんは?」

ミニー 「知らないわ。 お腹が空く事があるけど、たまらなくなったら、誰でもいいからおねだりするの。 もらえることもあるし、もらえないこともある。 どこかの家の台所にうまく入れたら、食べるものを見つけて思い切り食べるの。 食べ終わったら、また出歩くの」

博士 「どこを?」

ミニー 「どこでも」

博士 「食べる物が手に入った時は、誰か他の人間になったみたいな感じがしない?」

ミニー 「お腹が空く、だから何か食べるものを探すの」

博士 「どこへ探しに行くの?」

ミニー 「それがとっても変なの。 代金はいつも誰か他の人が払ってくれて、あたしは一円も払わない・・、ほんとに変なの。 何を食べても代金を払ったことがありません。 時々、あたしの欲しい物が出ないことがあるけど、仕方なしにいただくの。 時々ひどいものを食べさせられて気分が悪くなることがあります。 出されたものが気に入らなくて、しかめっ面をすることがあります。 思い切って食べる時と、ほんの少ししか食べないことがあります。  それに、男になったり女になったりします (注 完全に憑依した時のこと)。
 自分がどうなってるのか、訳がわからなくなることがあります。 どうしてこんなに変になっちゃったんでしょう?  自分にもわかりません。 人から話し掛けてもらいたくて、歩き回って手当たり次第に話し掛けるんだけど、誰も相手にしてくれなくて、ただ自分の声が聞こえるだけなの。 たまには話し合ってる人の中に入り込んで、しゃがみこんで、そして・・。 あぁわからない! 半分だけが自分になったみたい。 誰か他の人になったみたいになります」

博士 「年齢はいくつなの?」

ミニー 「年齢? 知りません」

博士 「自分の年齢が分らないの?」

ミニー 「この前の誕生日の時は、19歳だった」

博士 「お父さんやお母さん、あるいはお姉さんはいるの?」

ミニー 「いません」

博士 「両親はどこに住んでいたの?」

ミニー 「父さんも母さんも知りません」

博士 「あなた自身はどこに住んでいたの?」

ミニー 「父さんや母さんが今も生きているのかどうか、どこにいるのか、あたしは何も知りません。 一度も会ったことがないの」

博士 「どこかの施設にいたんだね?」

ミニー 「あたしはホームで育ったの。 大勢のお友達と一緒に」

博士 「仲良しがたくさんいた?」

ミニー 「いっぱい、いました」

博士 「そこはどこだったの?」

ミニー 「よく知りません。 何か変なの。 どうなってるんでしょう? とても変なの」

博士 「きっとそうだろうね」

ミニー 「人から話しかけられたのは、今日が初めてなの。 あの美しい歌(注 交霊会が始まる前にみんなで歌う歌)を聞いていると、知らない間にここに来ていました。 あたしは浜辺の向こう岸に行きたいと思って、どこだろうと思って見つめていたところでした」

博士 「私たちがそこへ連れて行ってあげますよ」

ミニー 「気がついたら話せるようになってたの(注 アンナ夫人に乗り移らされたことに気づいていません)。 これまでずいぶん長いこと、一人もあたしに話しかけてくれた人はいなかったわ ― これだけはほんとよ。 あたしから話しかけると、いつも他の誰かが返事をするの。 あたしは何も返事をすることがなくなったみたいだった。 だって何をしゃべっても、誰も聞いてくれないんだもの。 ほんとに変なの。 あんな変なことってないわ。 みんながあんまり意地悪だから、働いていた家から逃げ出しちゃったの(注 時間が経過するにつれ、地上時代の記憶が薄れて混乱します)」

博士 「みんながどんなことをしたの? ムチでぶったりしたの?」

ミニー 「そんなんじゃない」

*ここから生前の話が始まりますが、長いので要点をまとめます。
ミニーが14歳の時、ある女性が彼女を施設から引き取りました。
その女性はとても信心深く、ミニーにも信心を厳しく強制していたそうです。
また「ミニーは良い子ではないから、私の言うことを聞かないと地獄に連れて行かれる」と脅し、ミニーのためと言いながら、上記のような行為や体罰を繰り返していました。
次にミニーは自分の名前の由来を語り始めます。
赤ん坊の時にどこかの階段の上に捨てられていたため、『ミニー・オン・ザ・ステップ(階段の上と言う意味)』と名付けられたのですが、本人はその名前が気に入っていなかったようです。

博士 「あのね、あなたはもう肉体を失って、今はスピリットになっているのだよ」

ミニー 「それ、何の話? あたしは女の子よ」

博士 「今まであなたは、スピリット(霊)になってウロウロしてたんですよ」

ミニー 「どういうこと?」

博士 「あなたには、もう肉体はなくなったということです」

ミニー 「死んだわけ?  あたしはもう随分永いこと皿洗いをしていないし、髪の毛を引っ張られたこともないわ。  あの人があんまり意地悪だから、あたし、あの家から逃げ出したの。 遠くへ遠くへと逃げて、食べる物がないものだから、お腹がペコペコになっちゃった。 お金もないし・・・」

博士 「それからどうなったの?」

ミニー 「どんどん遠くへ行くうちに道に迷ってしまい、お腹が空いてるものだから寝てしまいました。 目が覚めるとあたりは真っ暗で、森の中にいました。 ふとあの人に見つかったら大変と思って、森の中を走ったり歩いたりしながら、どんどん進みました。 それから、どこかで食べものをもらわなくちゃと思ったけど、最初に見つけた家には入りませんでした。 お腹がペコペコのまま昼も夜も歩き続けたけど、大きな樹木と森以外は何もありませんでした。  そうしているうちに寝てしまい、それきりその日のことは覚えていません(ここで死亡)。

 目が覚めると、身体が楽になっていたので、さらに歩き続けて町へ向かいました。 ずいぶん歩いた所で大勢の人たちがいるところにやってきたけど、誰もあたしの方へ目を向けてくれなかった。 お腹はペコペコでした。
 それで、女の人がレストランに入るのを見つけて、その後をつけて入りました。 一緒にご馳走を食べようとしたんだけど、その人が全部食べちゃって、あたしはホンのちょっぴりしかもらえなかった。 その人はずっとあたしには知らん顔をしていました。 レストランを出た後、また歩き続けているうちに、また誰かがレストランに入るのを見かけました。  今度は何人かの人と一緒でした。 一緒にいただいたけど、代金はみんなその人たちが払ってくれました。」

博士 「“あたし”は一体どうなったんだと思う?」

ミニー 「分りません」

博士 「あなたは誰かの肉体に取り憑いていたんですよ。 スピリットとなって地上の誰かにつきまとっていて、その人の肉体を通して空腹を満たそうとしていたんです。 多分あなたは森の中で肉体から離れたのです」

ミニー 「あたし、とっても喉が渇いてました。 食べるものはなんとか口にできたけど、食べるたびに喉が渇いていって、もう、バケツ一杯でも飲めそうだったわ」

博士 「肉体を捨てたことに気付かずに、肉体の感覚だけが精神に残ってたんだね」

ミニー 「そうかしら? 死んだのはいつのこと? あたしのこと、よく知っているんでしょう? ここへはどうやって来たのかしら?」

博士 「私の眼には、あなたの姿は見えていないのですよ」

ミニー 「あたしの両親も見えないのですか?」

博士 「見えません」

ミニー 「あたしは?」

博士 「見えません」

ミニー 「あたし、どうなっちゃったのかしら?」

博士 「あなたのことは、肉眼では見えないのです」

ミニー 「あたしのしゃべっている声は聞こえるのでしょ?」

博士 「それは聞こえます」

ミニー 「声は聞こえても、姿は見えないんですか」

博士 「あなたは今、自分の口でしゃべっているのではないのです」

ミニー 「ほんと?」

博士 「手を見てごらんなさい。それ、あなたの手ですか?」

ミニー 「いいえ」

博士 「ドレスはどう?」

ミニー 「こんなの、一度も着たことがありません」

博士 「あなたは他の人の身体を使っているのです」

ミニー 「(ドレスは)どこかの団体からいただいたんだわ。指輪もしてる!?」

博士 「その指輪はあなたのものではありません。 手もあなたの手ではありません」

ミニー 「また眠くなってきちゃった」

博士 「その身体を使うことを特別に許されたのです」

ミニー 「あら! あそこを見て!」

博士 「何が見えるのですか?」

ミニー 「よくわからないけど、女の人がいます。 泣いてます」

博士 「誰なのか、尋ねてごらんなさい」

ミニー 「(驚いた様子で)あら、まぁ、ウソ!」

博士 「何て言ってますか」

ミニー 「あたしはその方の子供なんですって。 あたしを置き去りにしたことを後悔してるんだと思うわ。 でも、ホントにあたしのお母さんかしら? “まぁ、私の愛しい子!”なんて言ってるわ。 今日まで必死であたしを探し続けてきたんだけど、手がかりがなくてどうしようもなかったんですって」

博士 「今はもう、お二人ともスピリットになってるんです。 高級界の素晴らしいスピリットがお迎えに来てくださってますよ」

ミニー 「その方(母親)は、真面目に生きていたのに、男に騙されたと言っています。 教会に通っているうちに、男が結婚しようと言い寄ってきて、お腹に子供ができるとどこかへ姿を消しちゃったんですって。 あたしを生んでから身体を壊して、あたしをホームの上り段に置き去りにし、それから不幸続きで、とうとう病気で死んじゃったんですって」

博士 「お母さんに言っておあげなさい。 お母さんもあなたと同じように、今はもうスピリットになったのよって。 すばらしいスピリットが、あなたたちを救いに来てくださってますよ」

ミニー 「母さん! おいでよ! 許してあげるわ、母さん。 もう泣かないで。 これまでのあたしには母親がいなかったけど、今日から母さんがいるわ。 あたしを随分探したって言ってるわ。 それで誰かが、あたしたち二人をここで会わせてくれたんですって。 “きっと見つかりますよ”って言われてやってきたと言ってます。 ほんとに見つかったのね。 うれし泣きをしてもいいかしら? 泣きたくなっちゃった。 だってあたしにも母さんができたんですもの」

博士 「霊界でお二人の家が持てますよ」

ミニー 「あたしの名前はグラディスと言うんですって。 母さんの名前はクララ・ワッツマンですって」

博士 「どこに住んでたんだろう?」

ミニー 「セントルイスですって」

博士 「霊界へ案内してくれる方が、ここへ来てくれてますよ」

ミニー 「あれは何? インディアンの少女がやってくるわ(高級霊団のマーシーバンドのシルバースターという名の女の子)。 ステキな女の子よ」

博士 「そのスピリットが、お二人にいろいろとステキなことを教えてくれますよ」

ミニー 「あら、母さん、そんな年寄りみたいな姿はいやだわ! さっきは若かったのに」

博士 「すぐに若くなりますよ。 悲しんでいる心の状態が、そんな姿に見せているのです」

ミニー 「あのインディアンの少女、シルバースターというんだけど、母さんに手を当てがって“若いと思いなさい。 そうすれば若くなります”っと教えてます。 あっ、本当に若くなったわ! 若くなったわ! じゃああたし、母さんと一緒に行きます。 あたしたちは天国の神さまのところへ行くのかしら?」

博士 「霊界へ行くのです。 そこへ行ったら、もっともっと素晴らしいことを学びますよ」

ミニー 「シルバースターが“神はスピリットです。 神は愛です。 神はどこにでもいらっしゃいます”と言ってます。 そして、博士に感謝しなくてはいけないって」

ミニー 「母さんは今若くてきれいです。 若いと思ったら若くなるんですって。 シルバースターがそう言ってます。 いつかまたここに戻ってきていいかしら?」

博士 「大歓迎ですよ」

ミニー 「あたしはもう、ミニー・オン・ザ・ステップじゃない。 グラディス・ワッツマンと覚えててね。 みなさんありがとう。 これで私も一人前になれたわ。 ちゃんと名前がついて・・。 やっぱりいいな。
あたしのわがままを聞いてくださってありがとう。 さようなら」

*このセッションから1ヶ月半位してから、ミニー霊は、以前の自分のように彷徨える霊たちを博士の元へと連れてくるようになったそうです。



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